今回は、HAPPY SWEETS FACTORYさんよりお声がけを頂き、お店紹介の記事をお届けします。
スイーツ好きの夫さんに記事の大部分を書いてもらい、妻の私が少し加筆しております。
結構長い記事になってしまいました。それもこちらのお店の魅力にハマってしまったからかと。
前置きで載せておくと、こちらのスイーツめちゃくちゃ美味しく、優しい味です。スイーツ好きの方は、ぜひパティシエ兼オーナーの吉岡さんのお話聞いてみて欲しいです。
島根でまた美味しい素敵なお店に出会えて嬉しいなあ。
では最後まで、読んでいただけると嬉しいです♫

島根県松江市の洋菓子店、HAPPY SWEETS FACTORYで店主の吉岡徹さんの熱い話を聞きながら、イチオシの「AWASE」を頂きました。
2024年5月にオープンした同店はこだわりのビスキュイ生地で作った「AWASE」を中心にシュークリーム、シフォン、タルト、プリン、焼き菓子などを販売しています。また、予約制でホールケーキも注文できます。



今日はご本人の解説とともに「AWASE」を初めて食べましたが、そこに込められたお菓子に対する情熱と哲学には感動するばかり。屋号の「HAPPY SWEETS FACTORY」の由来も納得です。

コウジョウではなくてコウバです。
お店の名前の由来は何ですか、という質問に後日送られてきた吉岡さんの答えは次のようなものです。
「幸せなお菓子を生み出し続ける」という決意の下、HAPPY SWEETS FACTORYと名付けています。洋菓子、和菓子両方の経験がありそこから表現する菓子だからこそ、あえて「SWEETS」にしており、自身の名前「吉岡」を店名にいれず「FACTORY」としたのも、あくまで大切なのは私の名前を広める為ではなく「菓子・スイーツ」であり、その「菓子・スイーツ」を生み出し続ける「工場(こうば)」であるべきという理由です。
私がお店にいた時間、吉岡さんの話を聞きながら食べたAWASE、店名につくFACTORYは工場(こうじょう)とはちょっと違うなと感じていました。そして送られてきたメッセージには、工場(こうば)と書いてあります。漢字は同じなのに読み方が違うだけでずいぶんと印象が変わってきますね。下町の町工場で作られた部品がロケットになって宇宙へ飛び立つように、このお店は幸せになるお菓子で笑顔を咲かせてくれる松江の町工場です。
製菓で成果を得るには青果を知ることだ。
吉岡さんは洋菓子と和菓子の経験があります、少し経歴に触れておかなくてはなりません。
和菓子屋を家業とする家に生まれ(ご実家は出雲市の吉岡製菓さん)、将来は菓子職人になるだろうと思っていたそうですが、学ぶために選んだ進路は製菓専門学校ではなく、現在の島根大学の生物資源科学部でした。その理由がまさに吉岡さんの原点であり、土台になっているのです。
和洋問わずにお菓子で使われる果物はいったいどうやってできているのか。どんな果物だって必要なものがある、それは水と土だ。農業を仕事にしている私からすると、何とも嬉しい着眼点です。この人とは話が合わないはずはない、そう思いました。だって実験大好き少年(今でも)なんですから。
自然の恵みである食べ物の生育を100%コントロールすることは難しいです。植物工場のように徹底した管理のもとで栽培されている野菜もありますが、現状ではすべての作物で可能とはなっていません。きっとそのうち出来るようになるんだろうなぁと期待と悲観を半々で思っています。天候に左右されずにいつでも同じ品質のものが作れるなら本当にすごいです。でも植物工場が増えてしまうと耕作放棄地も増えてしまうんじゃないかな、というのが目下の心配事です。
実験とは比べること、そして白紙でいること。
話を戻します。
あぁ、吉岡さんは実験が好きなんだなと感じたエピソードをひとつご紹介します。それは生地づくりのときに出てきた話です。
島根県にお住まいの人なら木次乳業の牛乳はご存じでしょう。パスチャライズ牛乳で有名ですね。他にも数種類ありますが、吉岡さんは思い描く理想の生地を作るために、いくつもの牛乳を取り寄せ試作を重ねました。その中には木次乳業ももちろんありました。分量や配合を工夫し試作を重ねて完成に至ったのに選ばれたのが、木次乳業の赤ラベルの牛乳でした。

※参考までに
パスチャライズ牛乳・・・65℃30分間の低温殺菌法で作られたもの
赤ラベル・・・120℃2秒間の殺菌方法で作られたもの
吉岡さんが赤ラベルを選んだ理由に『乳味が残る』ことを強調されていました。生地を食べた後で口の中に残る乳感を最大化させるのにもっとも適しているのが赤ラベルでした。
百聞は一見にしかず、翌日、上記の2種類の牛乳を買って飲み比べてみました。結果は、どちらも美味しい牛乳でした(難しいわ!)

確かにパスチャライズの方は、生乳の天然性をそのまま維持する製法のため、さっぱりした風味が特徴的だから、その分赤ラベルの方が濃いイメージなのかなと。
白紙でいること、とは私自身が普段から思っていることです。
農業は毎年が一年生だと年長の方々からよく言われます。同じ畑で同じ種を同じタイミングで播いたとしても、去年と同じ品質のものが同じ量で収穫できるかというと無理だと思います。
自然の恵みとはそういうもんだと諦めるのは負けを認めることかもしれません。天候の影響が最も大きな理由にはなりますが、去年と今年は違う、まずはそれをしっかりと心に留めておいて気持ちを白紙に近い状態にする。
吉岡さんとは業界は違いますが、食品に関わるものとして気持ちがよくわかります。同じメーカーから同じ品名の原料を仕入れても同じものとは限りません。その日の気温や湿度が左右する場合もありますが、レシピ通りに作っても同一の生地やクリームができるわけではないのです。
でも、決して悲観的にならなくていいのです。だって、食べる方の舌だって変っているかもしれないんだから。
とにかく何が言いたいのかというと、いつ買っても、いつ食べても同じ味がするというのは本当にすごいことなんです。
進化するAWASE。

なかなかメインディッシュのAWASEに辿り着かずにすいません。
吉岡さんからは一見すると相反するように見える二つの個性がちょうどよく共存しているようです。理系と感性、データとアート、知識と経験。
オープン当初にはAWASEはありませんでしたが、ずっと頭の中にイメージするものはあったそうです(それこそ修行時代から)。
ディスプレイに並べられているいくつものAWASEは、挟まれているクリームの味でどれを食べようかなとワクワクします。
しかし、主役は一人ではないのです。味の決め手はきっと生地の方にあるのです。
AWASEってどんなスイーツ??

カステラとシフォンの良さを取り入れたハチミツたっぷりのふわふわのビスキュイ生地(無添加)に生クリームをたっぷりサンドしたHAPPY SWEETS FACTORYオリジナルスイーツ。
吉岡さんご実家のルーツ「和菓子」×兵庫県のエスコヤマで修行した「洋菓子」からインスピレーションを融合させた逸品。
ホールケーキは、回りを生クリームできれいに塗ってあります。
ロールケーキは、スポンジを丸めて巻いてあります。
よく私たちが目にする、ホールケーキやロールケーキは、見た目はとても華やかですが、反対にスポンジや生クリームには、塗る、巻くことで圧力がかかり、劣化してしまう原因でもあるのだそう。
自然のまま、シンプルにストレスなしの美味しさをみんなに食べてもらいたい!そんな思いもあり、優しく挟む生クリームサンドの形になりました。
AWASEの感想
生地は、ふわふわでどこか懐かしさも感じられ(カステラの感じから来るもの)、生クリームも甘さ控えめで食べやすかったです。
大きさも今日頑張った自分へのご褒美にもちょうど良い、手のひらサイズ。
しかも種類もたくさんあります(取材した日は13種類あった)!どれにしようか悩んでしまうほど。

今日はプレーン味を頂きましたが、いずれは全種類制覇したいです。
そして定番はスタンダードとして残しつつ、期間限定や数量限定でおそらくはさまざまな味を提供してくれるはずです。実験が終わらない限り、AWASEは進化し続けるのです。
ちなみに・・・AWASEは、ホールサイズもあります!※予約販売になります。
独り占めして大きなAWASEをかぶりつきたい方、パーティーなどでみんなでシェアして食べたい方におすすめ。
サクサクのシフォンのラスク。

せっかく来たのだからお土産を、AWASEを買って帰りたかったのですが帰宅まで時間がかかる日だったので他の常温商品を物色しました。
シフォン生地のラスク?珍しいなあ。聞くと食感は一般的なラスクよりも軽め、味も数種類ありプレーン、紅茶、しょうがの3つを購入。しかし、焼き上がりが1cm位の厚さにシフォン生地を切るなんて難しいだろうと気になったので尋ねてみました。
「これは最初からこのサイズでシフォンを作るのですか、それとも出来上がったシフォンケーキをこのサイズに切るのですか?」すると思ってもみない答えが。
「さすがにシフォンケーキをこの厚みでは切れません。ラスク用には配合を変えたシフォン生地を作っています」
なんと驚きました。作り分けにどれほどの手間や時間を要するのかは分かりません。素人的にはたくさんシフォンケーキを作っておいて、そのうちのいくつかをラスク用にしているもんだと。吉岡さんが描く理想のお菓子とそこに向かう研究熱心さと妥協しない仕事への姿勢を最後にも垣間見ました。

シフォンラスクの感想


通常のラスクは、少し固いイメージ。
ですがシフォンラスクは、サクサク柔らか!ちょっとこんなに軽い食感とは…びっくりしてしまいました。新食感ラスクと言えばいいでしょうか。軽いし、手土産にピッタリだな、と思いました。
大好きな味を再現した シュークリーム。


若き高校生の頃の吉岡少年は、ケーキ屋のシュークリームがめっちゃ美味しいお店があり、よく食べていました。(ちなみに、そのお店はもうないらしい)
ある日、いつも好きで食べていたシュークリームの味がなんか違う…
味が変わっちゃったのか、その真相はわからずだったみたいなのですが、ここで吉岡少年は気がついたわけです。
好きな味って自分で作らないと食べられなくなるんだ!
じゃあ!作ってみよう!そこからパティシエの道へ。
外側のクッキーシューは、パリパリでしっかり味がついていて、少し苦めな気がしました。
そして中に入っている、たっぷりの甘さ控えめな優しい滑らかなクリームとシューが口の中でいいバランスで味わえさせてくれます。
この苦味について聞いたところ、『上部のシュガークッキーがオーブンの熱でメイラード反応をおこして苦味を発生させています。これもあっさり食べて頂きたい為です』
計算あってのこの味!
このシュークリーム大ファンになってしまいました。


※メイラード反応とは…
食品中のアミノ酸(タンパク質)と還元糖が加熱により反応し、褐色物質(メラノイジン)と香ばしい香り成分を生成する現象。パンの焼き色、ステーキの焦げ目、コーヒーや味噌の香りの主因であり、非酵素的褐変反応とも呼ばれる、料理の美味しさを決定づける重要な化学反応。
もっとスイーツのことを知りたい方は、アシェットデセール専門レストランもチェックして欲しい!
HAPPY SWEETS FACTORYさんが、confectionery theorem(コンフェクショナリー セオレム)という、予約制のレストランも不定期で開催されています。
confectionery theorem(コンフェクショナリー セオレム)=菓子の定理
「製菓×料理」を「和×洋」を織り交ぜ、お皿という舞台の上で「静×動」を表現!
こんな吉岡実験ラボ的なメニューが出てくるらしい…
・バターナッツと島根県産黒王かぼちゃのポタージュ
・茄子を塩胡椒してローストし、桜のチップで燻製にしたベーコンを直前にオリーブオイルでジュッとした前菜
・千疋屋さんのシャインマスカットをチーズとカスタードと生クリームを食べる直前に目の前で組み提供するミルフィーユ。
次回これ呼んでくださらないかな…
どんなスイーツ料理が出てくるのか。
その季節によってメニューも様々だろう。
きっと攻め攻めの見たことない、味わったことのない逸品がテーブルの上に出てくるのは確かかな、とワクワク期待してしまいます。
予約開始は、Instagramにて発信されていますので、こちらも気になる方はぜひご覧ください。
それにしても、ご夫婦だけでお店を切り盛りしているのは本当にすごいです。しっかりと役割分担をされていて、ちょっと別スペースで吉岡さんの話を聞いていました。たびたび、接客と販売をしている奥さんとお客さんの楽しい会話が聞こえてくると、リピーターも多いんだろうなと思いました。

仲良く働く姿もカメラに納めさせていただきました。
HAPPY SWEETS FACTORYについて

HAPPY SWEETS FACTORY
島根県松江市上乃木2-14 2階
0852-78-2774
【場所について】
初めて行く方は、少しわかりづらいかもしれません。Googleマップを信じていくと、全然違う場所に連れて行かれたので、ここにメモで残しておきます。
①イオンエクスプレス 上乃木店の前の道を入る
②すぐに、左手に『MONOTONE』の看板があるので、曲がる

③砂利の駐車場を奥まで進むと、丘の上に店舗の建物がある

④階段を登ると・・・HAPPY SWEETS FACTORYさんです。


