【島根県出雲市】平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 鑑賞レポート

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 美術
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平田地域の手仕事の今

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

平田本陣記念館で興味をそそられる展覧会が開催しているので行ってきました。
平田地域に縁のあるクラフト作家12名の作品展です。様々なジャンルの方がおられて、平田=木綿街道のイメージが払拭されました。
訪れた日はデザイン・テキスタイルで出展されていた、田部井眞子さんのアーティストトークの開催もありました。今日はその様子を主にお伝えしたいと思います。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 平田本陣記念館

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-とは

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

かつて木綿の一大生産地であり、水陸交通の結節点として栄えた雲州平田地域。この地に縁をもつ多彩なジャンルの若手クラフト作家12名が一堂に介します。枠にとらわれない創造性に富んだ手仕事を通して、今を生きるクラフト作家たちの表現と思考に触れ、ものづくりの現在地を見つめます(チラシより引用)

作家さんの紹介

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 
平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

吾郷直紀さん(製本・紙)

安食潤さん(陶芸)

石川哲さん(金属工芸)

伊藤大介さん(革・帆布)

岩佐昌昭さん(陶芸)

かわなべかおりさん(ガラス)

川邉雅規さん(ガラス)

久家明子さん(革・靴)

田部井眞子さん(デザイン・テキスタイル)

原隆介さん(家具)

ヒノタケシさん(指物・空間)

樋野由紀子さん(染織)

アーティストトーク/田部井眞子さん「デザインを語る」に参加

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

会場の田部井さんの展示作品の前に椅子が用意され、アットホームな雰囲気でトークイベントが始まりました。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-田部井眞子さん 

1時間という限られたなかで、これまでに外注で依頼されたロゴマークやパッケージデザインを中心に、テキスタイルが出来上がるまでを分かりやすく解説してくださいました(お話し上手!)。
島根県民ならどこかで目にしたことがある有名なロゴマークばかり。


例えば、大社珈琲さん。
出雲大社のシンボル的なしめ縄とコーヒー豆の絶妙なコラボレーション。丸い円のなかに文字が入る(個人的にアルフォンス・ミュシャの絵を思い浮かべました)、円と縁、輪と和、みたいな優しいつながりを感じるデザインのその後につながるきっかけになったそうです。

安来市の苺やkiritoさん。松江の水燈路なども手がけられました。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-田部井眞子さんの作品
今まで依頼されて作成した商品パッケージの作品
平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-田部井眞子さんの作品
今まで依頼されて作成した商品パッケージの作品

ロゴマークや商品のパッケージデザインなど、依頼されて制作するものはクライアントとの対話を大切にしていると強調されていました。前述の苺やkiritoさんにて作られたテキスタイルでは、イチゴが栽培されているビニールハウスまでスケッチに行かれました。お店に並ぶイチゴはヘタの葉がペッタリしていますが、生長途中のイチゴのヘタの葉は元気よく上に向かって反っています。そんな様子も現地で生産者の話を聞いてこそ知られる事実です。田部井さんの描くテキスタイルのデザインには、決して一般的なイメージだけではない生命の本来の姿がしっかりと宿っているのです。

切れ目(つなぎ目)に気付かれないように。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-田部井眞子さんの作品
上の写真の青い布がカサに!!

一枚の布をデザインする際には、およそ80㎝間隔でパターンが繰り返されるように制作するようです。しかしながら、そのつなぎ目の部分には細心の注意を払います。いったいどこが切れ目なのだろう、と見る人が全く気にならないデザインになるように、いくつも角度から調整を行います。デザイン上の工夫はもちろんのこと、実際にシルクスクリーンでプリントする技術の力も大きいことが分かりました。
説明されてから、この辺りだろうかと目を凝らしてみてもまるで分かりません。日本画の屏風や襖絵とかと比べるのもジャンル違いではありますが、田部井さんのデザインに対する(絵柄とは異なる)強いこだわりを感じました。

最後の質問コーナーで、宮崎駿監督の作品が好き♡しかもジブリ作品という大きな括りではなく、駿先生の作品が好き!と言っていらっしゃっり、親近感が湧きました。
私もジブリ作品は大好きでして…(ちなみに、プロデューサーの鈴木さんが好き)

<参考までに>
出雲人さんのサイトに田部井さんのインタビュー記事がありました。島根県に移住された話やデザインユニット「ミツトリヒトギ」について書かれてあります。

田部井 眞子|出雲人 -IZUMOZINE-
東京都生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻を卒業。デザインユニット「ミツトリヒトギ」の活動を行う。東日本大震災がきっかけで2011年...

展示の並び方もグッドでした。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

今回はアーティストトークに参加したこともあって、田部井眞子さんの話題ばかりになりました。他の作家の皆さんもとても個性豊かな作品ばかりで、お一人お一人を書いていたらとても文字数が。気になった作品の写真でご勘弁ください。
ただ一言、展示の仕方がとてもよかったです。関連の強い作品をかためることなく、まるで商店街を歩いているような、こんなところにこんなお店が的な気分になれました。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 
平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 
平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 


また、私と同年代の方が多くて、色々と刺激にもなりました。展示作品と同じものではありませんが、商品の物販コーナーもありました。平田地域でこれほど多彩な作家さんがいらっしゃるので、県内全域を見回せば手仕事にこだわる方々がまだまだいるはずです。これからどんな出会いがあるのかますます楽しみになる展覧会でした。

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 
平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 
入り口付近には作品が購入できるショップもあります!

同時開催の「へんなお茶会」も出雲市出身の写真家 川瀬一絵さん

へんなお茶会
へんなお茶会

日常の風景など展示してあるのですが、行ってみるとわかります。へんなお茶会なのです。
畳のお部屋でゆっくり夏の風や音を聞きながら、座って展示を見るのがおすすめです!!

へんなお茶会

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-開催概要

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展- 

平田クラフトミュージアム-平田のクラフト界を担う若手作家作品展-
会期:2024年6月22日(土)~9月1日(日)
会場:平田本陣記念館
住所:島根県出雲市平田町515番地
TEL:0853-62-5090
開場時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜日(※8/13は開館)
入場料:一般500円、高校生以下無料
駐車場:有
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