今回は、島根県安来市と鳥取県米子市を巡る日帰り旅行から、米子市立山陰歴史館にスポットをあててご案内します。
安来市伯太チューリップ畑の様子は前回の記事をご覧くださいね♪
旅のはじまりは4月初旬が見頃のチューリップを見に安来市の伯太庁舎へ。色とりどりのチューリップとシンボリックな風車を写真に収めたら、イエローバスに乗り込み、20分弱で米子市に到着です。
ノスタルジックな気分に浸るべく、米子市立山陰歴史館へ向かいました。
昭和の香りが漂うレトロ建築の山陰歴史館へ
米子市立山陰歴史館は、昭和5年(1930)に建築された旧米子市庁舎です。赤いレンガが魅力的な洋館風の建物です。
今では昭和レトロなモダン建築として、米子市内でも有名ですが、昭和初期においては最先端のオシャレ建造物として異彩を放っていたのではないでしょうか。
外観は1階部分のアーチ型の窓が特徴的で、2階と3階がレンガ造りとなっています。カーブと直線のデザインの組み合わせと、紅白の色彩の対比が違和感なく共存しているところが素敵でした。
内装では階段のデザインが素晴らしかったです。左右に分けられた階段を上ると小さな踊り場に出ます。手すりのゆるい曲線に身を任せて、体を反転させると一本の階段になります。映画のロケに使われそうな階段です。
館内のあちらこちらには、可愛らしい赤いベンチがあります。年季が入っていますが、建物の雰囲気にとても合っていました。
現在の米子市役所は国道9号線を挟んで、反対側にあります。その近くには米子市美術館もあります。米子駅方面に戻る道には商店街(アーケード通り)もあって、ふらふらと歩いていると、こんなところにオシャレなお店がある、みたいな発見がいくつもありました。
米子の歴史的史料が満載の常設展示
建物二階での常設展示では、米子市の鉄道の歴史が紹介されています。昭和の初め頃の米子市や、歴代の「特急やくも」の写真などを見ることができます。
写真はほんの一部です。実際に見に行かれるとたくさん置いてあって、鉄道好きにはたまらない空間だな、と感じました。ぜひ行ってみてほしいです!!
昭和の暮らしの様子~まるで民藝博物館!そしてレトロ家電も見物!
また、昔の暮らしの民芸用具や昭和レトロな家電製品の実物が置いてあります。学校の教室を模した部屋では、明治時代のランドセルがあり、昭和世代の自分が使っていたのとデザイン的にあまり変わっておらず、びっくりしました。生活用品のコーナーには、鰹節削り器があって懐かしくなりました。子どもの頃に祖母に頼まれて、よく削っていました。鼻の奥にあの鰹節の食欲をそそる匂いがよみがえってきます。
そんな古い道具を見ていると、一つ一つが大きく、がっしりとした作りになっています。それでいて、機能はシンプルに一つだけが基本。現代は、例えばスマホなら、様々なアプリをインストールして、スマホの機能をどんどん充実させていけます。食についても、味変みたいに一粒で二度おいしいが流行っていますね。牛丼屋でも様々なトッピングが用意されています。同じ料理でも、角度を変えて楽しもうとするのが現代人なのかもしれません。
しかし、ひとたび通信障害が発生してスマホが使えなくなったら、あるいは流通が止まって食材が届かなくなったら、どうなるでしょう。修復するまで、日常生活に支障が出まくってしまいます。システムが複雑になって、原因を特定するのにも一苦労です。
それに対して、一道具一機能の時代はある道具が壊れてしまっても、全体に波及する規模は現代よりもずっと小さかったのではないでしょうか。他に代用できる道具があったかもしれないし、造作もシンプルなものが多いので、どこが壊れたのかすぐに分かったのでしょう。さらに言えば、修理もおおかたは持ち主が自分で直していたかもしれません。
古い道具を眺めながら今の暮らしを振りかえり、仕組みがよく分かっていないのに、とりあえずスイッチ押したら動くから、使っている家電とかあるなあ、なんて思ったりしました。
もっと米子のことが知りたいなら企画展示へ
訪問した日に開催されていたのは、「米子城展」でした。サブタイトルには、「見て、体験して楽しむ米子城の魅力」。ガイドツアーなどのイベントもやっていたようですが、私がすっかり真剣になっていたのは、写真コンテストの投票企画でした。米子城跡の石垣や、桜や雪景色などの四季折々の姿を撮った写真。また、ダイヤモンド大山と呼ばれる天守跡から大山に昇る日の出、それから、逆に天守跡から見下ろす米子の町の夜景など。70数点の中から、10点まで選んでください、というわけで展示スペースをぐるぐる回って、気に入った写真の番号は手元の投票用紙に書き込んでいきました。
BGMの米子城あげそげソングにも注目!
他にもっとずっと気になっていたことがありまして。館内に流れていたBGMの歌です。その名も「米子城あげそげソング」。未だに耳から離れません。「あげ」「そげ」は山陰地方?の方言で、「それそれ」とか「そうそう」みたいな同意を示すときに使ったりしますが、色んな使い方のある方言なんです。
※米子の方「あげ」「そげ」について違っておりましたら、教えていただけると助かります。
米子城の復元模型や歴史資料展示もあった
別のスペースでは常設展示で米子城の歴史が様々な資料とともに紹介されています。米子城の復元模型もありました。現在ではその姿は想像するしかありませんが、VRの技術を使って実際に建っているように見える某印刷会社のCMがありましたね。
この日は、時間の都合上、米子城跡には実際に行けませんでした。また、機会を作って行こうと思います。
米子市立山陰歴史館について
住所:鳥取県米子市中町20番地
JR米子駅より徒歩15分。米子駅よりバスで「市役所前」下車ですぐ。
TEL:0859-22-7161
開館時間:9:30~18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎週火曜日と祝日の翌日(企画展会期中は開館)、年末年始
入館料:無料(企画展・特別展は有料の場合あり)