広島県三次市にある奥田元宋・小由女美術館で開催されている「平間至写真展」に行ってきました。
今ではすっかり主流になっているサブスクなどのネット配信による音楽鑑賞(私も使っています)。でも、20年以上前にはCDショップの新譜の視聴コーナーで出会う音楽の時間がとても貴重でした。通学の帰りに寄っては気が付くと2時間も経っていたことがあります。
全く知らない海外アーティストのCDもジャケットから得られる情報や印象で聴いてみる楽しみがありました。
前置きが長くなりましたが、そんな若かりし頃の私の音楽ライフを写真によってさらなる付加価値を与えてくれていたのが平間至さんの仕事だったと思います。
まずはチラシからの引用になりますが、展覧会の展示構成を見てみましょう。
本展では「写真と音楽」をテーマに、学生時代の作品をはじめ、CDや雑誌のために撮り下ろしたアーティストのポートレート、大震災後の故郷を写した心象風景、平間写真館で撮影した人物写真など、写真の可能性を追求し続ける平間至の世界を紹介します。(チラシより引用)
音楽の写真

第1展示室はまさに色々な音楽が聞こえてくる空間です。しかも、その部屋に入る前からタワーレコードの「NO MUSIC,NO LIFE.」の歴代ポスターの数々がずらりと掲示されています。ミュージシャンと意外な人とのコラボ写真はじっと見入ってしまいます。

この展示室でとりわけ個人的に懐かしさとともに印象深かったのは、サンボマスターのアルバムジャケット「サンボマスターは君に語りかける」です。キャプションに撮影秘話が書かれていて、スタジオで一曲フル演奏した最後のタイミングをとらえた写真ということでした。サンボマスターの皆さんとは同年代なので、今も現役で音楽を続けられていることに自分もやりたいことをずっと続けていこうと勇気づけられています。




写真家とその家族

第二章はガラッと変わって、パーソナルな家族や自宅の写真が並びます。

今回、初めて平間至さんが宮城県の出身だと知りました。東日本大震災後の復興に携われた活動とともに体調を崩されたことも紹介されていました。おそらく辛い時期に撮影された写真もあったと思いますが、それらを展覧会に出展するのもまた違う決断や覚悟があるのだろうと思いながら一枚一枚の写真へ真摯に向き合いました。

愛すべき瞬間
最後の部屋は明るさでいっぱいです。特に2015年に東京・三宿でオープンされた「平間写真館TOKYO」で撮影した普通の人々の記念写真はシンプルに感動しました。
家族写真や結婚写真、成人の祝い、愛用品や大切なペットとの写真。全体的に畏まった感じがしないところがよかったです。大笑いをしている瞬間、好きなアーティストを真似ながら撮った家族写真。一般人には恥ずかしく思えてしまう構図でも、きっと平間さんが上手に場を作っているのだろうと想像しながら写真を見てました。弾けている表情はカメラ目線ではないときもありますが、視線を追ってみればその人の大切な人や存在へと向けられています。「ハイ、チーズ」では決して出せなそうな写真ばかりで、愛に溢れた、愛しさの瞬間に立ち会えている気持ちになりました。
私たち夫婦と超人見知りの飼い猫2匹で記念写真を撮ってもらったら、いったいどんな感じになるだろうとつい想像を膨らませてしまいました。


奥田元宋・小由女美術館の様子も載せておきます



