出雲〜岡山旅もいよいよ終盤です。
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午後からは岡山県立美術館へ
特別展「エコール・ド・パリとメキシコ・ルネサンス」を見に行きました。
残念ながら、もう会期は終了になっていますが、感想レポートをお届けします。
と、その前にコロナ禍がアート鑑賞に及ぼした影響のひとつに、美術館所蔵の作品が見直された件があります。
本展は「名古屋市美術館コレクション」から出張してきた作品群です。
地方在住者にとっては、行きたい展覧会があっても県外であったり、日帰りでは困難な土地だと諦めてしまった人もたくさんいると思います。
しかし、今回のように各美術館が所蔵している一押しの作品たちが、ゴソッと近郊の美術館に来てくれると本当にありがたいです。
また、都市部の大型展(ブロックバスター展)に行きにくいことで、地元美術館の常設展やコレクション展に注目した人も多いのではないでしょうか。
それにしても、こんなにたくさん貸してくれて、当の名古屋市美術館の運営は大丈夫なんだろうか、と心配になったくらいです。
それで調べてみたら、2022年11月28日から2023年4月14日まで改修工事のため、臨時休館になっていました。
ちなみに出雲空港から名古屋の小牧空港まで直行便が出ているので、いつか行ってみたいですね。
コンパクトな図録に驚いた
展覧会に行くと、会場内の一休みベンチにサンプル用の図録が置いてありますね。
パラパラと目を通して、よほどのことがない限りは買っていきます。
ただ、作り手の情熱とこだわりが詰まった一冊は「分厚くて、重たくて、高い」という場合はなきにしもあらずです。
そのため、美術鑑賞に赴くときは、チラシを入れたりするクリアファイルとお土産用のトートバッグを持参するようにしています。
しかし、本展の図録を見て驚きました。昨今の流れに反するような(決して悪く言っているわけではありません)、「小さくて、薄くて、安い」一冊になっていました。
A5サイズくらいの冊子は、展示作品の紹介画像こそ小さくなっていますが、解説文等はしっかり読み応えがあります。
女性向けのファッション誌などでは、通常版と簡易版のような内容は変わらない二種類が販売されているようで、図録もそんな感じになれば面白そうです。
さて、図録によると1988年に開館した名古屋市美術館は、作品を収集・購入する際の4つの方針があります。
- エコール・ド・パリの画家の作品
- メキシコ・ルネサンスの画家の作品
- 現代の美術
- 郷土にゆかりのある美術
まさに本展のタイトルとなっているコレクション指針です。
展覧会の感想
それでは、いよいよ展覧会場の中へ行ってみましょう。
まずは見たかった作品、メインビジュアルにもなっていたモディリアーニの《おさげ髪の少女》です。
モディリアーニと言えば、首が長くて、眼球のない単色の目、が特徴の人物画が多い中で、本作はもう少し写実的に描かれています。
とはいえ、それでもモディリアーニです。独特のスタイルは健在で、アンバランスに感じつつも、じっくり見ているとだんだんと馴染んできます。
知っている誰かに似ているような気がする、と思っている人が少なくないと思います。みんな思い浮かべている人は違うだろうに、不思議な絵です。
そして、藤田嗣治の《夢》がよかったです。どんな絵ですかって?
乳白色の肌の女性が裸で寝ています。疲れているのか、ぐっすり熟睡しているのですが、その様子をベッドサイドから動物たちが顔を覗かせて見つめています。
タヌキにネコに鳥にキツネでしょうか?心配しているのか、ご飯が欲しくて起こそうとしているのか、そんな絵です。
また、ユトリロと荻須高徳のパリの街を描いた風景画を、同じ会場で見られたのもよかったです。
人物は遠くの方に小さく写り込んでいる感じで、街の気配のような、街の手触りのようなものを描いている気がしました。
ユトリロの《マルカデ通り》は緩く坂道を下っている感じ、荻須高徳の《ボールガール通り》は上っている感じで、2枚並べて見られたら面白かっただろうと思いました。
「メキシコ・ルネサンス」については、全くと言っていいほど知らない世界でした。
20世紀初頭のパリとメキシコの芸術を行き来した画家たちがいたこと、その中には日本人もいて、岡山県に縁のある方もいました。
また調べたくなる画家やアートの流れが知れて、実りのある展覧会となりました。
赤木 曠児郎(あかぎ こうじろう)氏の作品にも心が打たれた!
2階の常設展?では、赤木 曠児郎(あかぎ こうじろう)氏の作品が展示されていました。
細かい線に圧倒され、とてもびっくりしました。
漫画の細かい線と似ている気が個人的に感じました。
詳しくはこちらに掲載されています。
アートが日常にある街、岡山
駅から美術館までのアクセス方法はいくつかあります。今回は午前の予定もあったので、行きは路面電車、帰りはゆっくり徒歩で駅まで戻りました。歩いても15分くらいなもんです。
そして、この路面電車にすっかり驚かされました。パッケージデザインと言うのでしょうか、走りゆく路面電車を見るたびに柄が違うのです。
車両全体のデザインを一社ごとに買取っているのか、個性全開の電車が次から次へと走っていきます。
路面電車だけを取り上げても、アートが日常にある街だなあと思いました。
食もまたよし
旅の楽しみの一つである食についても、岡山県は楽しませてくれそうです。
好きなカフェやレトロ喫茶店も駅前周辺にいくつもありました。
美味しさを表現する文章力を磨いていこうと思います。
数時間の滞在でしたが、初の岡山県は良い思い出の一日となりました。
岡山県立美術館について
開館は昭和63年3月18日。
建築家・岡田新一氏による設計で、「郷土に親しみ 美を慈しむ」がコンセプトです。
外観は一見するとどこが正面なのか分からない、色々な形のブロックを積み重ねたような不思議な造形をしています。
きっと、見る位置や角度によって表情をくるくると変えてくれる建物じゃないかと思います。
また、館内の2階にあがると窓の外に岡山城天守が望める場所がありました。
岡山県立美術館
住所:岡山市北区天神町8-48
TEL:086-225-4800