2024年の夏休み。
私たちの住む辺りでは8月に入ってから、まったく雨が降らずに連日の猛暑が続いていました。
お盆休みも出来るだけ涼しい午前中と夕方に畑仕事。
テレビではパリオリンピックからの高校野球(島根県代表の大社高校が大活躍してくれました)。
ずっと家でのんびりもいいけど、せっかくの休みなのだからどこかに行こうと、島根県西部にあたる浜田市までドライブに向かいました。
少し前から気になっていた広浜鉄道今福線(こうひんてつどういまふくせん)遺跡群。
アーチ橋など実際に見てみたいと思い、行ってみることにしました。
広浜鉄道今福線とは…
昭和の時代に2度工事着工したにも関わらず戦争等の理由により未成線となった幻の鉄道遺産です。
今福線は、広島と浜田を結ぶ広浜鉄道の島根県側のルートとして、昭和8年、旧国鉄山陰線の下府駅から石見今福駅までが着工されました。
しかし、工事がほぼ完成した昭和15年、戦争のため中止されてしまいました。戦後、今福線旧線とは別に浜田駅を起点とする今福線の新線として工事が再開されましたが、昭和55年、国鉄の慢性的赤字経営の影響により、再び工事が中止されました。以後、工事を引き継ぐ事業者も現れず未成線として終わり、「幻の広浜鉄道(こうひんてつどう)」と呼ばれるようになりました。浜田市観光協会サイトより引用幻の鉄道遺産「広浜鉄道今福線」 | はまナビ 浜田市観光協会公式サイト島根県浜田市の観光やイベントなどの情報をご提供します
プリントアウトした地図を片手に。
前もってインターネットで調べると観光マップを見つけました。
歴史的な経緯などはあまり勉強せずに、距離も長いし遺跡群も散らばっているので全部は回れそうにないねと話しました。
今回は、下府駅からスタートすることにしました。
今福線の建設計画は旧線と新線の二回が試みられましたが、下府駅は旧線の起点駅です。
地図を片手に時間の許す限りに車を走らせます。
観光する際の注意事項が色々とあって、特に場所によっては駐停車するスペースが近くにないということです。
ラピュタの世界みたい!「橋脚群と今福第一トンネル」
そうこうしていると、あれ今トンネルが見えた、とか橋脚跡がパッと現れたりします。
なかなか車が止めずづらいので(ここは泣く泣くスルーして)しばらく走っていると、おぉネットで見た、と思しき橋脚群が右側に現れました。
車を止める場所もあり、案内看板も立っています。
「橋脚群と今福第一トンネル」です。
しかし、道路からはトンネルのトの字も見えません。案内看板の横に山道を登る階段があります。
どうやら、この上にあるらしい、と半信半疑で上がってみると開けた場所に出ました。
橋脚群がよく見える。そして、パッと振り向くと、トンネルがある!
今福第一トンネルは立ち入り禁止で、先の先の様子は暗闇で分かりません。
こんなトンネルまで掘ったのに、レールは間近の橋脚の上に続くことがなかったのです。なんとも言えない切ない気分になりました。
まさか遺跡の上を走っていたなんて!「今福第三トンネルと5連アーチ橋」
再び車を走らせていると、またトンネルが見えてきました。
入り口の前には案内看板も立っています。停車して見に行きましょう。
「今福第三トンネルと5連アーチ橋」の解説です。
トンネルは目の前にあるとして、アーチ橋は何処に。周りを見回してもそれらしきものはありません。
もう一度、案内看板の文章をしっかり読んでみると、現在は県道になっていると書かれてあります。おっと、これはもしや。
道路を挟んでトンネルの反対側は、やや凹んだ土壌から田んぼと集落が望めます。
道路を渡ります。
ガードレールから気をつけて身を乗り出してみると、なんとさっき走ってきた道の下に5連アーチ橋があるではないですか!
降りて近づけそうなので向かってみます。真下から見上げるとでかい。
しかも、見学記念と銘打たれたポストカードが置いてありました。近くまで来てみてよかった!
コウモリたちにお邪魔しますを言いながら通りましたよ「4連アーチ橋、今福第四トンネル、1連アーチ橋」
立派な看板が見えてきました。
「今福線アーチ橋群」として選奨土木遺産に2008年に認定された旨が記されてあります。
余談ですが、他に島根県内でどこがあるかなと土木学会のサイトを調べてみました。
・千本堰堤(松江市)
・福浦隧道(隠岐の島町)
・高角橋(益田市)
・来原岩樋(出雲市)
・三成ダム(奥出雲町)
推薦や一般公募により日本国内で年間20件程度が選出されるようです。
さて、「4連アーチ橋、今福第四トンネル、1連アーチ橋」です。
こちらのトンネルの前には立ち入り禁止の柵がありません。
案内看板にもトンネルを抜けると1連アーチ橋がありますと書いています。
ここまで来たら通るしかないです。
反対の出口から外が見えるので、別の世界に紛れ込んでしまう可能性はなさそうです。
千と千尋みたいになったらどうしよう…と妻が怖がりながらも行ってみることに。
トンネル内を何かが飛んでいます。暗闇で飛んでいる生き物といえばコウモリしか思いつきません。途中で天井を見上げてみると、、、。
お邪魔します、悪さはしませんと言いながら足早にトンネルを歩きます。
トンネルを抜けると涼しげな川が1連アーチ橋を抜けていました。
<ここからの景色で1点感じたこと>
ずっと遠くの方に高速道路が見えました。その景色を見た時、結局車社会になってしまったのだから作っていたとしても廃線になっていたのかもしれない、あぁでもそんなことない、レトロな車両が通って観光に一役活躍してたかもしれないと、頭の中で妄想して切なくなってしましました。
次回は反対側から周るのもアリ!
残念ながらお時間が来てしまいました。
今回、見て周れたのは全行程の半分くらいでしょうか。
まだ金城町方面には遺跡群が点在しています。
旧線と新線が並行して走っているスポットもあります。
次回は反対側から攻めてみるのも面白そうです。
個人的にジブリ感満載の風景なのではないかと感じました。ラピュタなど好きな方ぜひ訪ねてみていただきたいです。
自由研究ネタにも良さそう
まだ造られたものが残っているというのがとても貴重なところ。
自由研究ネタにもなりそうな(もう研究してる子もいるかもしれませんが)場所だなと思いました。
幻の鉄道遺産「広浜鉄道今福線」について
幻の鉄道遺産「広浜鉄道今福線」
住所:島根県浜田市下府町、上府町、佐野町、金城町、旭町 など
詳しくは浜田市観光協会公式サイトをご覧ください。
ガイドマップはこちら