益田市 Art Drive【中編】特別展「松江泰治 JP-32」観賞レポート~空からこんな風に見えることもあるのか

松江泰治JP-32入り口付近美術
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こんにちは。
7月23日から島根県立石見美術館で始まった、特別展「松江泰治 JP-32」に行ってきました。
初日は開幕記念・アーティストトークもあり、ご本人の作品解説や撮影秘話などを聞くことも出来ました。

特設サイトはコチラ

特別展「松江泰治 JP-32」

前回の記事も一緒にどうぞ

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航空写真とはちがう

松江泰治JP-32会場前(グラントワ)

正直にお話すると松江さんのことは存じ上げていなかったんです。
この展覧会を知ったのは県立美術館に置いてあったチラシを手にしてから。
このチラシですが、デザイン別に4種類あって、特設サイトにPDFデータがダウンロードできるようになっています。

最初にどこかでもらったチラシは一番右。会場に行った際、あと3枚もあったのでいただいて帰りました。どれも素敵。

私が持ち帰ったチラシは、どこかの化学工場らしい施設を空から写している写真で、中心には紅白柄の巨大な煙突がそびえて白煙が風になびいています。江津市ですね。
裏面には、「空から見る、現代の出雲・石見風土記」とキャッチコピーが書いてあります。
解説によると「JP-32」とは島根県をあらわす数字のことで、このシリーズは
「画面に地平線や空を含まず、被写体に影が生じない順光で撮るというルールで写された風景には、中心と周縁の区別や光と影の対比がなく、徹底した客観性が貫かれています」ということです。
トークショーでは普通の航空写真とはちがうんです、と話されていましたが、そう言われると空から写しているから凹凸はあるはずなのに妙にフラットな印象を与えてきます。
画面は明るいのに影が見えないので、太陽の存在を忘れてしまうような写真です。

見て、聞いて、見た

松江泰治JP-32会場内
会場は撮影OKでした。

トークショーが始まるまでに時間があったので、先に展覧会場を覗きにいきました。
すべて島根県のどこかの上空から撮影した写真で、松江さんの意図だと思いますが場所の明記はありません。
見た瞬間にこれはあそこだと分かるものもあったし(松江城とか)、まったく分からない住宅街を撮っている写真もあります。

トークショーでは展示されている一枚ずつに解説があり、撮影場所の解答もしてくれました。
お墓の写っている写真が多く何でだろうと思っていたのですが、話は簡単で松江さん自身がお墓好きだったのでした。
また、私がもらってきていた工場のチラシの写真では、正面から撮る構図の難しさの話を聞けました。
斜めからの構図はバリエーションも多く、それなりに格好良い写真に仕上がりやすいが、正面からの写真は正解の幅が少なく格好良いか悪いかが分かりやすくなってしまう、ごまかしの効かない写真になりやすいというような話を聞けました。

後半はなんと作品とならなかった写真も含めて撮影された写真のスライドショーを見られました。
なんと・・・その数、1300枚!!
あらかじめ入念な飛行・撮影計画を立てていること、パイロットとの相性も大事あったり。
また、偶然やハプニングを瞬間的に捉える目も必要で、今回の作品の中ではビニールハウス群を撮影している写真の中に、一棟だけちょうど張り替え作業中のハウスを見つけて、これは撮らねばと思ったそうです。
撮影枚数1300枚のうちの厳選に厳選を重ねた40枚が展示されていることがわかり、余計にもう一度確認したい!見ておきたい!!と感じ、トークショーが終わった後にもう一度会場へ寄り、今度は違う目線で見ることができました。
そして・・・気になってお墓の写っている写真を念入りに見てしまいました。

美術館に行けない人はチラシだけでも

とにかくチラシも見てみてください。
表面の外枠のない写真は、細かい部分までついつい見てしまうと思います。
展覧会自体の情報をもっと大きくすればいいのに、と心配してしまうほどです。
どこにも公表していない個人的な年間チラシランキングでは、2022年度の上位に食い込んでくるデザインです。
松江さんの他にも色々な手法やテーマで撮影をされているので、これまでの作品や写真集等も気になりました。

後編もお楽しみに

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

さて後編は同じく県立石見美術館で開催中の企画展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙 未知なる日常」です。
ともに島根県生まれのアーティストが生み出す、とっても理系な作品展です。

松江泰治JP-32

特別展「松江泰治 JP-32」
[開催場所]島根県立石見美術館 
島根県益田市有明町5-15「グラントワ」内
[会期]2022年7月23日(土)~8月29日(月)
[開館時間]9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)
[休館日]毎週火曜日
[観覧料]一般:300(240)円、大学生:200(160)円、高校生以下無料
※企画展は別料金