民藝ブームに乗ろう「出雲の民藝~健康な美を求めて」展~松江歴史館~

出雲の民藝~健康な美を求めて美術
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皆さん、こんにちは。
松江城が国宝に認定されて見に行った人も多いと思います。堀川の遊覧船もいいですが、松江歴史館にも是非行ってみてください。
江戸時代の城下町を彷彿とさせる外観ではありますが、実際に敷地内には松江藩家老朝日家長屋(市指定文化財)も建っています。
今日は4月28日(木)から6月26日(日)まで開催している、企画展「出雲の民藝~健康な美を求めて」展の鑑賞レポートをお届けします。
歴史館そのものも見所がたくさんあり、日本庭園を眺められる「喫茶きはる」も風情があってとても魅力的でしたが、それはまた別の機会に。

松江歴史館内にあったレゴで作った松江城
松江歴史館内にあったレゴで作った松江城
松江城
松江歴史館近くから見える松江城
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民藝のはじまりについて

近所のスーパーのお惣菜でも、器の盛り付けひとつで食卓の雰囲気が華やかになったりしますよね。
民藝=食器というわけではありませんが、何気ない暮らしの道具や雑貨を少し高価な工芸品にすることで気分が変わることもあったりします。
コロナ渦によるおうち時間への注目によって、民藝へ興味を持たれた方もいるかもしれません。しかし、そもそも民藝の品々に何らかの基準があるのでしょうか。
本展はそんな民藝運動の島根県における歴史がとてもコンパクトに分かりやすく解説された展覧会です。
民藝のキーパーソンたちの作品を見ながら、彼らが島根県とどのような縁でつながり関わってきたのかを知ることができます。
柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎。
あるいは、バーナード・リーチ、棟方志功、芹沢銈介。
たしかに彼らは民藝運動における中心的人物で、全国的な有名人です。
ただ、今日は安部榮四郎さんについて書きます。実を言うと、私も本展で詳しく知った方です。

出雲の民藝~健康な美を求めて

作品の前にあるもの~ひも解いてみていく視点

今回個人的に一番印象的に残ったのは、『紙の神という存在』と言われる安部榮四郎さんでした。

安部榮四郎さんを詳しく知るには、記念館がありますので、そちらのサイトをご覧ください。

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柳宗悦が島根工芸診察で訪れた際に、榮四郎の作った雁皮紙を高く評価したことで現在に受け継がれる出雲民芸紙ができました。
展覧会場には棟方志功や芹沢銈介の作品が飾ってありましたが、その紙を作ったのも榮四郎です。
美術品でも工芸品でも、私たちが目にするのはたいていは完成品です。しかし、そのスタート地点は真っ白いキャンバスであったり、粘土の塊であったりします。
とても当たり前の話をしますが、何を制作するにしても原材料となる素材があり、形にするための道具や機械が必要になります。
それはどこから来たのか、つまり、それを準備や用意する専門の人がいるわけです。例えば、レストランのシェフが欲しい野菜を作ってくれる農家を必要とするように。


榮四郎は昭和43年に職人の最高峰と呼ばれる人間国宝になります。しかし、紙漉き職人として初めて東京で個展を開くなどのアーティストの一面も持ち合わせていました。
私はこのような人に惹かれます。また食べ物の例えですが、シェフが理想の食材を求めるあまり遂には自ら野菜を作り始めるような、あるいは農家が採れたての野菜を食して欲しいと遂には畑の隣でレストランを始めるような。


榮四郎は手漉き和紙の伝統を廃れさせないために、色んなジャンルの民藝作家に和紙を使って作品を作ってもらいながら、自らもオリジナリティのある和紙を制作し発表する。出雲民芸紙の将来のために何でもやれることはやる、というような心意気を感じました。
図録の巻末に昔の座談会の様子が載っているのですが、ほとんどが陶芸家の参加者の中で榮四郎の存在は私にはひときわ頼もしく感じました。さすが、紙の神。


民藝展などに行くと展示品=完成品として、造形とか色彩とかに目がいきがちですが、それらをまるで電化製品を分解して一つ一つの部品を見るがごとくに鑑賞するのも民藝品を眺める大切な視点じゃないかと、安部榮四郎の仕事を振り返りながら思った次第です。

スマホアプリでガイドが聞きながら鑑賞できる!ミュージアム展示ガイド『ポケット学芸員』があり良かった

鑑賞する前に、『ポケット学芸員』という音声ガイドが聞けるアプリをダウンロードすると、分かりやすく解説を聞きながら見ることができました。

民藝品をただ眺めるだけではなく、背景などの説明も丁寧に聞くことができ良かったです。

イヤフォンを持参されると周りの方にも差し支えなく聞けて良いと思います。

入り口付近に案内パネルが置いてありましたので是非お勧めです。
フリーWi-Fiも用意してありました。

図録を買いました

かわいいシール付き

公式図録に、「再録 座談会 島根民芸の歩み-松江宍道湖畔 皆美館にて-」という記事が掲載されています。
島根県の民藝運動を牽引してきた方々による昭和31年に収録されたお話です。前述の安部榮四郎も出席しております。

今につながる民藝ブームは戦争の過酷な時間を乗り越えて、受け継がれてきています。
気楽に大切に扱いたい品々の背景にある歴史も感じながら、民藝を楽しんでいきたいですね。

ポチ袋もいただきました

出雲の民藝~健康な美を求めてポチ袋

松江歴史館さんのSNS(Instagram、Twitter、Facebook)いずれかをフォローまたはいいね!を受付で見せると、出雲民芸紙ポチ袋(3枚入)がもらえました。
さらっと書いてありますが、これこそ安部榮四郎のDNAを受け継いでいる和紙です。無料でもらえたとはいえ、なかなか使えませんね。(大切に使わせていただきます◎)

先着200セット(なくなり次第終了)とのこと
*お一人様各SNS一回ずつのみ(計3回観覧、3セットまでOK!)

松江歴史館庭
館内の喫茶きはるから見える日本庭園も素敵でした。
松江歴史館外から見た景色
松江歴史館の建物外観の様子

そして松江城に来た際は、ぜひ松江歴史館へ!!おすすめです!!

『出雲の民藝~健康な美を求めて』開催について

出雲の民藝~健康な美を求めて

『出雲の民藝~健康な美を求めて』
期間:2022年4月28日(木)~6月26日(日) 
休館日:月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館
時間:9:00~17:00 ※観覧受付は16:30まで
観覧料:大人500円、小・中学生250円
場所:松江歴史館
島根県松江市殿町279番地
TEL:0852-32-1607

» 出雲の民藝—「健康な美」を求めて— | 松江歴史館 – 松江城東隣・松江の歴史を紡ぐ場所 -|年間を通して様々な特別展や企画展を開催している歴史博物館です。