1962年に完成した『旧江津市庁舎』。設計資料、現場記録、模型など展示してあるイベントが2023.11.3~26まで開催中!!その中で、11/3の見学ツアーの様子をお届けします。
※このレポートを書いている、私は、全くの建築素人です。ただ、レトロスポットが好きな目線で記録を残しています。
- いつも江津に行くと目に留まる『旧江津市庁舎』
- 吉阪隆正氏とは
- ご案内してくださった方はこの方!吉阪隆正 愛弟子 齊藤祐子さん
- 2023年の現在は使用されていない建物
- 集まれる素敵な場所として使えないかな…と考えてみる
- 外観に石州瓦や窯のレンガが使用されている所がかわいかった♡
- 海側と山側で建物の作り方が違うのにはびっくり!
- 立派な手すり!!とにかく中に入ったら一番に触ってほしい!!
- 階ごとの数字のデザインが素敵!!
- 3階の市長室~応接室は絶景スポット
- A柱の裏側も見ることができた!
- レタリングで作ってある!!当時の部屋看板
- 議場の机は立派!!バタフライスツールで有名な山形の天童木工産
- 屋上にも上がれた!ここからの景色は、もちろん最高!!
- 2階展示会場も見どころたくさん!!
- とっても楽しいツアーでした!
- 今回参加したイベントはこちら
- 2階までは11/26まで見ることが可能!!
いつも江津に行くと目に留まる『旧江津市庁舎』
江津市へ行くと、いつも目に留まる建築があります。
それは…旧江津市庁舎!!
Aの形をした柱と宙に浮かんでいるのがかっこいいな~と♬
A柱はとても魅力的だし、よくこれで支えているな・・・どんな構造なのだろう・・・不思議♡と下から見上げてみて思っていた建築です。
ただ、面白くてかっこいいな!としてしか認識していなかった為、ここ何年か前までは有名な方(吉阪隆正氏)が作ったものだとは知りませんでした。
しかも、『旧江津市庁舎』は、DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築!!
【DOCOMOMO JAPAN選定についてはこちらをご覧ください。】
吉阪隆正氏とは
1917年東京生まれの日本の建築家。
<代表作>
1955年 吉阪自邸
1956年 浦邸
1956年 ヴェネチア・ビエンナーレ日本館
1962年 江津市庁舎・・・これですね!!
1962年 アテネ・フランセ
1965年 大学セミナー・ハウス
たまたま先日、テレビで拝見した『大学セミナー・ハウス』も吉阪隆正氏の作品でした。
逆三角形の建物がどーーーーっん!!と宇宙から落ちてしまって、埋まっちゃった!みたいな建物。かなり変わっていて攻めているな~と思いました。
詳しくは【吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる】をご覧ください。
ご案内してくださった方はこの方!吉阪隆正 愛弟子 齊藤祐子さん
とっても雰囲気がふんわり優しく、質問もしやすい方でした。
今回このツアーに20人くらい参加していて、(東京や広島からの参加もあった!!)ほとんど建築が好きな詳しそうな方がほとんどかな・・・と見受けられたのですが(おそらく私が一番素人だったかも・・・)、初歩的な分からない点などもお聞きしても分かりやすくお答えいただき、嬉しかったです。
齊藤さんの描いた、ここから見えた夕日の様子のスケッチも見せていただきました。
今月末に、水彩画ポストカード展を旧江津本町郵便局で開催されます。
〈サイトウ ユウコ 水彩画ポストカード展〉
石見スケッチ歩き、江津市庁舎の風景のポストカードと原画を展示
会場:旧江津本町郵便局
日時:2023年11月23日(木)~27日(月)
11~16時
入場料:無料
2023年の現在は使用されていない建物
耐震の関係で、2021年から庁舎としては使われておらず、とてももったいないことになっている建物です。
耐震については、話を伺うと、土木の橋梁技術や現場打ちPSコンクリートという技法で今後100年(これは建物ができた1962年からなのか、2023年からなのか・・・不明)の耐久性はあるらしいのですが、2016年にあった熊本地震の際、心配になっちゃったみたいで(おそらく全国的にこのタイミングで耐震が見直されているのだと思う)新しく庁舎を立てることになり、今この状態なのだそうです。
BUNGA NETの記事を見ていただくとわかると思うのですが、再利用で話が進んでいたようですが、なんと白紙に戻ってしまっているんだそう・・・(色々予算とか大変だろうな・・・)
コストの試算も示され、耐震補強や外壁改修をしてメディアプラザとして利活用した場合は9.5億円、解体して同規模のメディアプラザを新築すれば18.1億円の費用がかかるとした。朝日新聞2022年10月1日の報道とのこと
https://bunganet.tokyo/gotsucity/
集まれる素敵な場所として使えないかな…と考えてみる
個人的に解体はしてほしくない。
宙に浮いているこの感じ、島根県内で無いよ!!
美術館、図書館になるといいのかな・・・
カフェ(景色最高の市長室があった場所)
議会室をホールにして小さなライブができる場所に。
お土産物屋さんも1階にあるといいな~。
島根県内にある美術館と言えば・・・
島根県東部 松江・・・島根県立美術館
島根県西部 益田・・・島根県芸術文化センターグラントワ
があるけど、島根の真ん中の『旧江津市庁舎』こそ何かみんなが集まる場所になれば素敵♪だけどな~
クラウドファンディングとかでお金集めることはできないだろうか。
この予算を江津市民だけの税金ではなかなか難しいよ~。
と頭の中でぐるぐる駆け巡りながらツアーを回りました。
外観に石州瓦や窯のレンガが使用されている所がかわいかった♡
いつも遠くから窓ガラスいっぱいのA柱部分のみ見ていたので、石州瓦や窯のレンガが使用されていることは知りませんでした。
玄関の前の方と、裏側にたくさん使われている所が今でも見ることができます。
島根県西部地方の石州瓦や使われなくなった瓦を焼く窯のレンガを再利用されている点など、ここでしか見られないスポットがあるのにはとても嬉しくなりました。
吉阪さんもその土地でできることを大切にして作られていたそうですよ。
そして、なんかレトロ感でかわいいんですよ♡
ここもぜひ見てほしいスポットですね。
海側と山側で建物の作り方が違うのにはびっくり!
『旧江津市庁舎』が建っているこの場所は…
・海側(A柱の方)・・・砂地
A柱から外側に向かって7mも突き出している構造もあって、土木の技術で作られている。
土木の橋梁技術や現場打ちPSコンクリートという技法で薄いコンクリートの中にPC銅材(鉄の棒みたいなもの)が差し込んであり、強度を高めています。
これ実際に乗ってみるコーナーが2階の展示会場にありました!!
薄いコンクリートの板なので、乗るまでちょっと怖いのですが、ほんとに壊れなかった。
それほど、頑丈ってことですね。(わかりやすい体験コーナーでした)
【PCとは?】
展示紹介されていた内容
Prestressd Concrete(プレストレストコンクリート)の略称。
あらかじめ応力を与えられたコンクリートのこと。
PCの技術を用いることによって、コンクリートの最大の弱点(圧縮には強いが引張には弱い)を克服することができる。
・山側(奥側の方)・・・岩盤
こちらは、普通に建築の技術で作られている
しかもこの方向に建っているのも理由が!!
建った当時1962年は、まだ工場も多く、鉄道も機関車の時代。
海に近いのもあり、風が強い日があると、工場煙、鉄道の煙が風に乗ってやってくる状態。
風の影響を最小限に受けないように、海側に北西に向かって建てたとお話を伺いました。
立派な手すり!!とにかく中に入ったら一番に触ってほしい!!
吉阪建築の中で、一番大きくて太い木材で作っている旧江津市庁舎の手すり!!
他の吉阪建築を見に行ったら、なんだか物足りなくなるくらいこちらの手すりは立派なんだそう。
しかもこの手すり、端っこの部分は、現場でこの感じで人の流れがあるから~ここでカットしよう!!という風に作られていたというから、階ごとに違う斜めな感じにカットされている所が、わ~素敵♡とテンションが上がった瞬間でした。
そして、1~2階へ上がる階段は、西洋美術館のイメージで登ってみるとさらに楽しめますよ♪
階ごとの数字のデザインが素敵!!
2~4階へ上がるごとに、真鍮の木が埋め込まれている階の数字が設置してあるのですが、これがまたレトロ好きにたまらんスポットでした。
1階もあったのかな…もしあるならだれか教えてほしいです。
3階の市長室~応接室は絶景スポット
歴代の市長はいいな。毎日この風景見れていたのかぁ~と部屋に訪れた際最初に思いました。
ここカフェスペースにしたらいいのにな~と、妄想しつつ・・・見て回りました。
A柱の裏側も見ることができた!
A柱を中から見るとこんな感じ!!
なんかここだけ特別感あるな~
この隙間から眺めるのも面白いな。
レタリングで作ってある!!当時の部屋看板
今はデジタルでフォントがあり簡単に作れるかもしれませんが、当時、部屋ごとの看板は(市長室など)手作業でレタリングしていたそうです。
これもレトロ好きにはたまら~ん!!写真撮らねば!!のタイミングでした♬
議場の机は立派!!バタフライスツールで有名な山形の天童木工産
カーブ感が素敵!!ここにこのまま置いておくの勿体ないな…
そんな議場の机は、バタフライスツールで有名な山形の天童木工産。
何か再利用できないものだろうかと、妄想しました♪
傍聴席は、奥の方にあるのですが、当時左右に傍聴席があるのはどうかと提案したところ、却下になってしまったエピソードも伺いました。
今の新庁舎は、ホール仕様になっていて、議会以外にも使えるようになっているのだそう。(いいな~)
傍聴席は、記者が記事を書けるように、折りたたみの机もあり、狭いスペースをうまく使った仕様になっていて良かったです。
屋上にも上がれた!ここからの景色は、もちろん最高!!
江津を一望できる屋上。
夕日、花火大会、日常的にここからの景色は最高だな~
しかも市役所時代、一般には解放されてなかったそうで。
これ開放して欲しいよ~!ビアガーデンとか良さそう♡
モーニングとかもいいな~『天空の朝ごはん』イベントなど県内で開催されていますが、そんなこともできそう!!
2階展示会場も見どころたくさん!!
『旧江津市庁舎』模型や設計資料、現場記録、当時の江津の風景など展示されています。
設計資料、現場記録はなかなか見ることができないと思うので、この機会にぜひ見てほしいです。
模型は、今日ツアーで回った場所を「ここへ行って~今ここか~」などもう一度復習して楽しみました。
とっても楽しいツアーでした!
分かりやすい説明と共に、見て回ることができ、とても楽しかった!!
当時の様子なども伺うこともでき、ツアーで見て回ることができたのはとても良い時間でした。
良いことにみんなで使われる空間になる事を陰ながら願っております!!
今回参加したイベントはこちら
吉阪隆正 最後の愛弟子がご案内
モダニズム建築の傑作 旧江津市庁舎見学ツアー
日時|11/3(金)①10:30~②13:00~(各90分)
場所|①現地 ②オンライン(zoom)
講師|齊藤祐子(建築家、吉阪隆正+U研究室アーカイブアーキテクト事務局)
費用|500円
主催|いわみん実行委員会
2階までは11/26まで見ることが可能!!
旧江津市庁舎の60年 吉阪隆正+U研究室
DISCONT・LIVE 江津 2023
旧江津市庁舎(1962)を会場に、設計資料、現場記録、模型をはじめA棟の土木技術を見直す展覧会。
期間:2023.11.3(金)〜26(日)※木~日のみ
10時~17時(入場16時30分まで)
入場料:無料
建物ガイド:11時から(先着20名)←これ参加すると3階も見られるのかな?建物ガイドとチラシに記載してあるので、もし希望の方は問合わせしてみると良いです。
問合わせ:ogawash@theia.ocn.ne.jp